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    AIエージェントの基本と導入活用

    AIエージェントの活用ユースケース|業務再設計を支える導入実践例

    公開日: 2025年7月28日

    更新日: 2026年2月20日

    AIエージェントの活用ユースケース|業務再設計を支える導入実践例

    この記事でわかること

    • 営業・製薬・金融など5業界の代表的ユースケース
    • 業務別に見る、AIエージェントの適用判断のポイント
    • 大企業での実装を支える設計・ガバナンス・組織構造

    実行まで担う“自律型AI”──業務の構造を変える「AIエージェント」活用の現在地

    生成AIの活用が進む中で、いま大企業の業務変革を支える鍵として注目されているのが「AIエージェント」です。

    従来のチャットボットやRPAとは異なり、AIエージェントは“考えて動く”ことを前提とした存在。指示を待つのではなく、目的に応じて自ら情報を取りに行き、段取りを組み、必要に応じて実行まで担う──そんな“自律型AI”として業務プロセスの中に入り込むのが特徴です。

    特に複雑な業務や例外処理が多い大企業では、従来の定型自動化だけでは手が届かない領域が少なくありません。そうした中で、AIエージェントは「ツール」ではなく「動ける実務パートナー」として、属人性の高い業務を分解・再設計する動きが始まっています。

    このページでは、AIエージェントの代表的なユースケースを業務領域別に整理しながら、どのような場面で導入されているのか、なぜ従来のアプローチでは限界があったのかを紐解きます。あわせて、柔軟な意思決定や実行を要する業務において、AIが“使える存在”になるための前提についても解説していきます。

    チャットやRPAと異なるAIエージェントの特性

    AIエージェントとは、ユーザーの指示に従って“動いてくれる”AIのことです。チャット形式で会話するだけの従来型AIとは異なり、自分で情報を集め、作業手順を設計し、必要に応じて外部システムにアクセスして業務を実行する──そんな“手と足を持つAI”として登場しています。

    イメージに近いのは、RPGの中で一緒に冒険するパーティーのリーダーです。目的を伝えれば、どの順番で何を調べ、誰と連携するかを自分で考えながら動きます。ときには寄り道しながらも、最短ルートで成果を出すために行動を調整する柔軟さを持っています。

    この“柔軟に考えて、動く”という性質は、これまでのチャットボットやRPAにはなかったものです。

    • AIエージェント:曖昧な目的に対して自ら段取りを考え、ツールやAPIを呼び出しながら完遂を目指す。“実行まで担えるAI”
    • チャット型AI:あくまで「対話」を目的とした一問一答。会話はできるが、業務を実行するには人の手が必要。
    • ワークフロー型(RPA):決められた手順をなぞるのは得意だが、想定外の処理や例外対応には弱い。

    AIエージェントは、この2つの限界を補う存在として位置づけられます。「すでに手順が決まっている仕事」ではなく、「状況を見て段取りを組みながら進める仕事」にこそフィットするのが特長です。

    次のセクションでは、こうしたAIエージェントが、実際にどのような業務の中で使われているのか──営業・会計・M&Aなど、代表的なユースケースを領域別に見ていきます。

    業務別に見るAIエージェントの代表的ユースケース

    【営業】提案回数の限界を超えるアシストパートナー(大塚商会/製造業)

    導入前の課題

    営業担当者が「誰に、何を提案するべきか」を考える作業には大きなばらつきがあり、経験や勘に頼った動きが組織全体の営業成果に影響を与えていました。提案先の検討や資料作成に時間がかかり、商談の回数そのものが増やせないこともボトルネックとなっていました。

    導入内容

    大塚商会では、社内の営業支援システムに蓄積された数千万件の商談データや顧客情報を活用し、AIエージェントが訪問候補や提案内容を自動提案する仕組みを導入。担当者ごとの特徴や行動履歴に応じて、商談リストや日程まで提示される設計になっており、現場にも自然に馴染む仕組みが整えられました。

    導入後の変化

    商談件数は導入前と比べて約3倍に増加し、新人や中堅層でも成果を出しやすい環境が整いました。資料作成もAIが下書きを担うことで提案スピードが向上し、営業現場は対話や関係構築に集中できるようになっています。

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    【dotData】株式会社大塚商会 AIが半年で7万件以上の商談を提案 高精度な分析力で営業担当者の信頼を勝ち得る
    https://jp.dotdata.com/resources/case-study/how-otsuka-shokai-increased-their-business-deals/#:~:text=塚商会がdotDataを活用して営業活動の効率化に役立てているソリューションが、2019年から導入を始めた「AI行き先案内」です。これは営業ツールのSPRと連携 してデータ分析した結果から、それぞれの営業担当者に出向く先の企業を提案するというものです。dotDataが分析した特徴量から企業が何を求めているかを読み解き、A IがSPRのカレンダーに自動的に予定を入れていきます。「例えば、時間軸での分析があります。3年前に商談があった既存顧客には次の商談の要望が高まっているといった分 析から、AIが行き先を提案します。空いている時間で前後の商談場所から移動可能な地域のお客様を提案するなど、インテリジェンスを持って営業担当者を支援しています」

    【製薬】“医師との対話力”を育てる学習パートナー(中外製薬)

    導入前の課題

    医師との面談では、相手の関心領域や質問傾向をふまえた対応が求められる一方、MR(医薬情報担当者)の個人スキルに頼る部分が大きく、提案の一貫性や質の差が課題となっていました。また、ロールプレイ研修では先輩社員の負担が大きく、実施のばらつきや育成の非効率も問題視されていました。

    導入内容

    中外製薬では、社内の面談記録や製品情報を学習させたAIエージェントを活用し、医師ごとの関心領域に応じた面談フローや提案ストーリーを自動で生成。また、医師役を演じる対話型AI「MediMentor」を導入し、新人MRが音声で模擬面談に取り組める仕組みを構築しました。

    導入後の変化

    MRは短時間でパーソナライズされた提案を準備できるようになり、面談の質が大きく向上しました。模擬面談では、AIがリアルタイムで所要時間や回答内容のフィードバックを提示。研修効率が上がり、育成の平準化と加速が実現されています。

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    【Google Cloud】中外製薬: RAG を用いた文書検索や人財育成、メディカル ライティングなどに生成 AI を活用し、業務効率化とさらなる価値創造を推進
    https://cloud.google.com/blog/ja/topics/customers/chugai-pharm-generating-ai-to-drive-operational-efficiency-and-value-creation/?hl=ja

    【金融】文章業務の時間を削減し、品質も保つアシストパートナー(あおぞら銀行)

    導入前の課題

    銀行業務では、稟議書や社内文書、顧客向けレポート、法務関連文書などの作成に多くの時間がかかっていました。特に、文章の構成や用語統一、記述内容のチェックに人手が必要で、ミスや手戻りが発生しやすい状況が課題となっていました。

    導入内容

    あおぞら銀行では、GPT-4を活用した文章作成支援のAIエージェントを導入。稟議・議事録・社外説明資料などを対象に、行員が入力した要点や構成指示をもとにAIが草案を生成します。社内のナレッジや書式ルールも学習させたうえで、行内イントラ上でセキュアに運用されており、誰でも安心して利用できる環境が整備されています。

    導入後の変化

    AIによる草案生成により、文書作成にかかる時間が大幅に短縮され、校閲や確認作業も効率化されました。社員一人ひとりの文章品質が安定し、社内コミュニケーションの正確性も向上。導入から半年で、全社的に「AIを通したほうが速くて整う」という意識が浸透しつつあります。トップダウンの戦略に現場が自然にフィットしたことで、エージェント活用が業務習慣として根づいてきています。

    【コンサル】“情報処理”から“価値創出”へ移行する補完パートナー(アクセンチュア)

    導入前の課題

    調査・資料作成・会議メモ作成など、日々の業務が積み重なる中で、思考や提案に時間を割くことが難しいという声が多く上がっていました。アウトプットの品質も属人的で、新人とベテランのギャップが顕在化していました。

    導入内容

    アクセンチュアでは、全社員に対して専用のAIパートナー「PWPバディ」を提供。リサーチ、下書き作成、過去資料検索、議事録作成などを横断的に支援する仕組みを整備し、社員一人ひとりが“AIと二人三脚”で仕事を進める環境を整えました。

    導入後の変化

    業務効率が向上し、提案までのリードタイムが短縮。新人でも高水準の成果物を生み出せるようになり、アウトプットの平準化が進みました。単なる支援ツールではなく、組織全体の業務構造を変えるインフラとしてAIエージェントが浸透し始めています。

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    【IT Leaders】アクセンチュア、社員と一緒に仕事をこなすAIエージェントを2025年春に全社員へ展開https://it.impress.co.jp/articles/-/27190#:~:text=アクセンチュアは、同社自身によるAI活用の直近の取り組みを説明した。1つは、アプリストアのように社員が作成したAIアプリケーションを共有するシステム基盤「ピアワ ーカー・プラットフォーム」(PWP)である。すでに、トータルで3300個以上のAIアプリが作られており、250個以上が共有アプリとして公開されている(図1)。

    AIエージェントが適している業務とは

    AIエージェントはあらゆる業務に万能ではありません。むしろ、その特性に合った業務に絞って使うことで初めて、高い効果を発揮します。

    向いている業務の共通点は、「目的達成までに複数の判断や行動を伴うこと」「手順が固定されておらず、状況に応じた柔軟な対応が求められること」「判断に使う情報が分散しており、収集・解釈・統合が必要であること」などです。

    たとえば、会議録から意思決定プロセスを抽出する、過去のやり取りをもとに提案文を起案する、複数の業務ルールに従って計画を立てる──といった業務が該当します。

    一方で、完全に定型化された処理や、単一のルールで処理できる作業には、ワークフロー型RPAや既存のSaaSの方が向いているケースもあります。例としては、請求データの整形や、定時レポートの生成などが挙げられます。

    現場の業務をよく観察すると、単純な処理の集合に見える作業の中に、必ず“判断を伴う余白”が含まれています。その判断部分をエージェントに任せることで、人がやるべき業務とAIが担うべき業務の線引きが見えてきます。

    万能なAIを目指すのではなく、“特定業務で成果が出る構造”を見極めることこそ、最初の一歩となります。

    実装に向けた設計のリアル──大規模組織で求められる条件とは

    AIエージェントを本格的に活用していくには、「使えるツール」を整えるだけでは不十分です。特に組織規模が大きくなるほど、ガバナンス、権限設計、現場定着までを視野に入れた“設計”が必要になります。

    たとえば、生成AIの導入で先行する企業では、まず経営層がAI活用の方針と投資判断を明示したうえで、ステアリンググループのような横断組織を設けています。その上で、現場主導の小さな活用例(Quick Win)を吸い上げて横展開するハイブリッド体制が有効とされています。トップダウンの後押しと、現場の自律的な試行が両立できる構造です。

    また、導入そのものも従来のようなウォーターフォール型ではなく、PoCとリリースを何度も繰り返すアジャイル型が主流です。たとえば富士通では、生成AIの全社展開後も「保守スプリント」を組み、プロンプトの改良や運用フローの改善を継続的に実施しています。モデル選定や知識のメンテナンスを内製できる体制が、活用の質を大きく左右します。

    さらに重要なのが、RPAやチャットボットなど既存ツールとの“すみ分け”です。AIエージェントは柔軟な判断や例外対応が求められる業務に強く、逆に完全な定型処理はRPAに任せた方が効率的です。両者をうまく組み合わせる設計が、現実的な導入には不可欠です。

    加えて、金融・製薬といった規制業界では、AI活用に際して倫理・安全・責任の所在が問われます。ある企業ではAI活用の方針を「責任あるAI」として明文化し、法務・セキュリティ・現場の三部門が連携してチェック体制を組む形を取っています。意思決定のプロセスを記録し、なぜそのアウトプットが出たか説明できる設計も重視されています。

    こうした構造を支えるのは、ツールではなく人です。

    全社員に生成AIを開放した富士通では、予想以上に市民開発が加速し、現場から自然発生的にツールが生まれる流れが生まれました。ローコードツールやAPIと組み合わせながら、エンジニア以外が自ら業務を改善できる環境が整っていたことが後押しとなりました。

    AIエージェントの導入は、単に技術の問題ではありません。戦略と現場、規律と柔軟性、集中と分散をどうバランスさせるか──その設計こそが、大規模組織にとっての「本当の導入」だと言えます。

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    【フォーサイト】生成AIを導入しても“思ったほど効果が出ない”貴社は何をすべきか
    https://www.fsight.jp/articles/-/51440

    【まとめ】“使われる営業AI”をつくるための、3つの前提

    AIエージェントの導入は、単なる効率化ではなく、業務の構造を見直すきっかけになります。特に大企業においては、業務の特性を見極め、現場に定着させるための設計が不可欠です。

    本記事のポイントを、以下に整理します。

    ・AIエージェントは“手順どおり”ではなく“状況に応じて動ける”業務に向いている
    固定フローよりも、判断や例外処理を伴う業務で価値を発揮する。

    ・実装には、技術と組織構造の両面からの設計が必要になる
    トップダウンの意思決定と、現場主導の試行錯誤を両立させる体制が鍵。

    ・PoCや導入で終わらず、継続的に“使い続けられる”仕組みづくりが重要
    モデルやプロンプトの見直し、ガバナンス、育成文化まで視野に入れる。

    まずは、自社の業務の中で「判断の余白」がある領域に目を向けてみてください。
    そこから、AIエージェントの本質的な活用が始まります。

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